おくる仕事たち。

きのう、なんだか疲れる旅路の末にたどりついた会社は、
「花祭壇」の業界トップ企業でした。
花祭壇、その名の通り、花で飾られた祭壇です。
有名人のお葬式や社葬なんかで見かけます。
http://www.beauty-kadan.com/business/technical.html
 
その会社の中でも第一人者とされる社員の方を取材させてもらったんですが、
確かに、すごい。
 
たとえるなら、立体の巨大ドット絵といったところでしょうか。
しかも、ドットひとつひとつが生の花。
1種類の菊でも、100本あれば、100通りの形と大きさなわけです。
一瞬で花を選び、一瞬で茎を思い通りの長さに切り、
すっとスポンジ状の土台に挿していきます。
この間、5秒。
流れるような作業の連続で、気がつけば美しい曲線に。
さらにその連続で、美しい曲面が。
ドットの形が一定じゃないので、感覚がモノを言います。
離れて見たときに一様に見えるかどうか。
設計図はありません。
 
祭壇ですから、本番では棺を運んだりもするそうで。
この仕事を辞めていく一つの理由が、「遺体を見る」という精神的重さ。
 
「お葬式ですから、直接喜ばれることはありません」
「少しでも誰かの気持ちを和らげることができるなら、と思ってます」
「その方のストーリーを、花で、どこまで表現できるか」
  
社員の方からは、誇りを感じました。
でも、この仕事、まだ「呼び名」がないそうです。
「自分の仕事を聞かれたら、花屋って言ってますね。仕方なく」
 
何か、いい名前、欲しいですね。
 
というわけで、何かのヒントを求めてこの映画を観に行くことにしました。
「納棺師」という仕事の映画です。
モックンの仕事中の所作が美しい。
その一方で、「死にかかわる仕事」の厳しさも伝わります。
確かに、世間の目って容赦ないはず。
花祭壇をつくる仕事は、ここまでご遺族と向かい合わないけれど。
本質は、とても近い。
 
棺を花で飾る仕事、
あなたは、どう思いますか?
 
おくりびと
http://www.okuribito.jp/